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旧車には独特の魅力があります。
しかし、旧車に興味があっても、どのような自動車を指すのか知らない人も多いでしょう。
「購入する前に旧車の定義が知りたい」
「旧車の魅力が知りたい」
「旧車のさまざまな呼び方を確認したい」
「絶版車と旧車の違いってなんだろう」
と自動車のことばかり考えてしまうかもしれません。
本記事では旧車の魅力や呼び方、絶版車との違いについて説明します。
最後まで読めば旧車の魅力がわかりますので、購入する際の参考にしてみてください。
一般的に旧車とは、製造から数十年以上が経過した自動車を指す言葉です。
希少性や歴史的な価値があるので、旧車は愛好家によって大切にされています。
なぜなら、新しい車にはない、古き良き時代の技術やデザインが反映されているためです。
旧車を眺めるだけで、時代ごとの背景を思い浮かべられるでしょう。
また、旧車が持つ独自の歴史やエピソードは、所有者にとって大きな価値や魅力があります。
例えば、1950年代のアメリカでは流線型のデザインが流行しました。
同じ時代に製造された旧車は、優雅で洗練されたデザインが特徴的です。
また、1960年代に製造された旧車は、パワフルなエンジンやスタイリッシュなデザインに強みを持っています。
日本では代表例として、スポーツカーが人気を博しました。
私も御多分に漏れず、旧車が大好きでして。。
10代の多感な時期に触れた車が脳内に強烈にインプットされてるわけですよ。
当時は良くも悪くもレースを連想させる、高性能を謳った車のカタログや広告が多くて、運転への強い憧れと、単純に強いもの(スピードやパワー)への憧れがありました。
旧車は単に古い自動車ではなく、時代の流れやトレンドを感じられる魅力的な存在です。
時代の象徴であり憧れの存在である旧車は、自動車の歴史を次世代に伝えつつ、多くの人から愛されています。
時代がたっても愛される旧車ですが、なぜこんなにもその魅力にはまってしまうのか?
個人的には、個性的なデザイン・いい具合のレトロ感・機械的な制御にあると考えています。
旧車は個性的なデザインがまず魅力的です。
個性的といえば、現代車も十分個性的だとは思うんですが、旧車は車の前部(顔)にかなり特徴があって。
1970年代後半まで、車のヘッドライトはほぼ全メーカー共通のものを使用していました。
丸2灯・丸4灯・角2灯・角4灯など、組み合わせは複数あるものの、使用しているランプはシールドビームと言って、規格が決まっているものだったんですね。
規格が同じなので、ほかの車より目立たせるために、個性的な顔を作るようになったのではないかと思うんです。
今と違い、衝突安全性などの規制も厳しくなく、燃費向上のための空力特性も重要視されていなかったので、多少鋭利なデザインでもOK。
だから、個性的なデザインの車が当時は数多く出回り、現在までハマる人が多くいるのでしょう。
次に旧車はレトロ感があるのもいいですよね。
レトロ感を演出するのは、なんといってもクロームメッキでしょう。
現代車は樹脂にクロームメッキを施すのが一般的ですが、当時は金属にクロームメッキなんかもありましたから。
バンパー、ラジエーターグリル、エンブレム、オーナメント、モールスイッチ類、ドアノブ、窓枠、レギュレーターハンドル(手回しで窓を開閉するノブ)もクロームメッキやステンレスなどいわゆる「ヒカリモノ」が多くて、魅力的でしたね。
旧車の魅力として、機械的な制御機構も忘れてはいけません。
当時、電子制御技術がまだありませんでした。
エンジンはキャブレター式呼気だったり、ポイント式点火だったり、調整(整備)が不可欠。
各部にワイヤーケーブルやロッドを使って作動させるのですが、仮に故障したとしても代用品で復元できる可能性が非常に高いんですね。
現代のような電子制御の場合は、代用品を利用するのは様々な理由から現実的じゃありません。
自分が整備士だからかもしれませんが、わが子の面倒を見るような楽しみというか、旧車はメカ好きの心をくすぐる仕様なので、そこも魅力的です。
地域や文化によって旧車に対する呼び方は異なります。
そこで、旧車の呼び方について説明しますので参考にしてください。
アメリカやヨーロッパでは自動車の年式によって、異なる呼び方が存在します。
地域ごとの自動車文化や歴史の深さが反映されているためです。
アメリカの旧車は以下の通りの呼び方があります。
アンティークカー | 1930年以前に製造された車 |
クラシックカー | 1931年~1960年に製造された車 |
プロダクションカー | 1961年以降に製造された車 |
ヨーロッパにも年式ごとに呼び名があります。
以下は例としてイギリスの呼び名です。
ベテランカー | 1886年~1904年に製造された車 |
エドワーディアンカー | 1905年~1916年に製造された車 |
ヴィンテージカー | 1919年~1930年に製造された車 |
ポストヴィンテージカー | 1931年~1942年に製造された車 |
ヒストリックカー | 1945年~1971年に製造された車 |
参考URL:クラシックカー投資研究所
上記に記載のない1917〜1918年と1943〜1944年は世界大戦の影響により、旧車の分類はありませんでした。
呼び名は一般的なものであり、自動車の持つ歴史や魅力を伝えるための言葉として、地域ごとに根付いています。
自動車の製造年やモデル、地域の文化などにより、異なる場合があるので注意しましょう。
一般的に、日本では年式ごとに自動車の呼び方が異なる概念はありません。
年式よりも自動車が持つ歴史的な価値やデザイン、性能などが重視されています。
特定の時代やデザインの自動車を「クラシックカー」と呼ぶことがありますが、厳密な年式の区別はありません。
例えば、日本クラシックカー協会が主催するイベントでは、参加の基準として1975年式までの自動車が対象とされています。
時代ごとの自動車が持つ独特の魅力と歴史的な価値こそが、重要な要素のためです。
さらに、一部の愛好家の間では昭和時代の車を「昭和レトロカー」、平成時代の車を「平成クラシック」などと呼ぶこともあります。
したがって、日本の旧車は年式に基づいた分類は一般的ではありません。
旧車の世界は呼び名だけでも奥深いものがあり、魅力をさらに引き立てる要素の一つでもあります。
旧車の愛好者は個々のデザインや特性に対して、独自の呼び名や愛称を付ける傾向にあります。
単なる乗り物以上の存在と捉えて、自動車に感情を結びつけているといえるでしょう。
日本における自動車の文化は世界的にみても多様です。
そのため旧車に対する愛好者たちの情熱も大きく、デザインや特性に対してこだわりを持つ方も多く見受けられます。
独自の愛称をつけるのも、そうした背景が絡んでいると考えられるでしょう。
具体的には「ハコスカ」と呼ばれている旧車が有名です(私が初めて購入した思い入れのある車です)。
スカイラインの3代目である「C10型」の愛称として知られています。
発売当初は4ドアセダンのみの設定で、角ばったデザインの特徴から「箱型のスカイライン」を意味しています。
サーフィンラインと呼ばれるボディサイドのプレスラインなど、自動車のファッション性を高めた独特なデザインとレーシングマシンのエンジンを搭載した「GTR」の誕生した有名なモデルとして、ハコスカは日本だけでなくアメリカの旧車愛好家からも絶大な人気を誇っています。
愛好者の中では「ケンメリ」も知られた存在です。
スカイラインの4代目「C110型」の愛称として知られています。
当時「日産スカイライン C110型」のコマーシャルに登場し社会現象を巻き起こした、ケンとメリーという男女の名前に由来しています。
他にもたくさんあるんですよ。
「ケンメリ」の4ドアモデルは4ドアのケンメリを略して「ヨンメリ」
CMのキャッチコピーの「SKYLYNE JAPAN」から「ジャパン」と呼ばれた5代目C210型スカイライン。
日産ローレル2代目C130型はハードトップは特徴的な厚ぼったいリヤデザインから「ブタケツ」、セダンはフロントデザインが怪獣のガメラに似ていることから「ガメラ」
日産(ダットサン)ブルーバード初代310型はテールランプの形から「柿の種」、2代目410型はルーフモールの形状から「はちまき」、3代目510型はそのまま「510(ごーいちまる)」、4代目610系は逆スラントノーズの顔つきが鮫に似ていることからサメブルーバードを略して「サメブル」
日産グロリアA30型は、縦型4灯ヘッドランプのスタイルからタテグロリアを略して「タテグロ」
初代トヨタセリカは、ふっくらしたデザインと顔つきから「ダルマ」
4代目トヨタクラウンは、丸みを帯びたそのデサザインがシロナガスクジラを連想させることから「クジラ」
3代目トヨタマークIIは、丸2灯ヘッドライトが豚の鼻の穴を連想させることから「ブタ目」
スバル360は、ワーゲンの「ビートル」に対抗して、その見た目から「テントウムシ」
旧車の愛好者は自動車に深い理解と愛情を持っており、独自の呼び名や愛称で表現されています。
まだまだたくさんありますが、当時まだインターネットも無い時代、誰が言い出したのかもわからない俗称なのに日本全国で通用する愛称がこんなに生まれたなんて、当時の人々のクルマに対する深い思い入れを感じます。
日本では独自のスーパーカーブームが起きました。
1期目は1970年代後半、子供たちを中心に起こったブームです。
これはフェラーリやランボルギーニといった高性能なイタリアンカーを中心にしたブームです。
当時はまだ日本車の中には、このブームの渦中にあるようなスーパーカーに対抗できる高性能なクルマはありませんでした。
2期目のブームとして、
一般的には、1980年代から1990年代にかけて、高性能なスポーツカーの人気が急上昇したことを指します。
日本の自動車メーカーの進歩によって、世界に誇るスーパーカーを、次々と生み出しました。
ブームになった理由は、当時の日本経済の好景気にあります。
バブル経済の影響で豊かになった人々は、高価なスーパーカーを求めるようになりました。
また、メーカーは先進的な技術を駆使して、パワフルで美しいスーパーカーを開発しています。
例えば、トヨタの「スープラ」や日産の「GT-R」などは、日本車のメーカーではスーパーカーの生産において国際的にも高評価を受けました。
優れた性能と美しいデザインのスーパーカーは、世界中で熱狂的なファンを生み出しています。
経済の好景気や技術革新が生んだ特別な時期が、日本のスーパーカーブームでした。
世界中で愛される名車が数多く生まれ新たな時代を築いたとして、日本の自動車産業の歴史を物語っています。
旧車とは別に、絶版車と呼ばれる自動車があります。
数十年前に生産された自動車が旧車といわれていますが、絶版車はメーカーが生産や販売を終了したモデルのことです。
つい最近まで購入できた新車でも、生産中止が発表されてしまった場合は絶版車に分類されます。
旧車は過去に販売された自動車なので絶版車に入りますが、必ずしも旧車とは限りません。
販売中止になったばかりの車は旧車として扱うには新し過ぎるためです。
よって、絶版車と旧車の違いは、生産が終了したかどうかと自動車の古さで決まります。
当たり前ですが、形あるものはいつかは無くなります。
旧車に乗る(手に入れる)ということは、つまり「その形を維持する」 という行為がもれなくオプションとして付いてきます。
「維持する」と一口に言ってもいろいろな意味がありますし、人それぞれだと思います。
など
これはまったくの私感ですが
新車を購入した人の中に「このクルマを後生大事に息子の代まで残してあげよう」と考える人はまずいないと思います。
それが、不思議なことに旧車と呼ばれるクルマを手に入れると 「このクルマを後世に残してあげたい」 と思うようになるんです。
というか正直にいうと、そう思えない人は旧車には飽きてしまい 「維持する」 ことができないと思います。
旧車について様々な角度からみてきました。
旧車の魅力が再評価され、未来はますます明るいものとなるでしょう。
技術の進歩によって、容易に旧車のメンテナンスができることにも期待できます。
多くの愛好家が旧車の情報共有や交流の場を増やすことで、旧車の文化が今後さらに深まるのではないでしょうか。
自動車の購入時に旧車を選択肢の一つとして検討してみるのもいいかもしれませんね。